トイレのレバーには「大」と「小」があり、流れる水の量が違います。
そのため、水道代を少しでも抑えたい場合、
すべて「小」で流してしまえばいいのでは?
と考えたことがある方もいるのではないでしょうか。
ただし、一見すると合理的に思える方法ですが、
「実際には金額の差はどれくらいなのか」
「トイレの仕組みとして問題はないのか」
気になる点はいくつもあります。
そこで今回は、トイレの「大」と「小」の違いについて、数字と仕組みの面から整理します。
- トイレの「大」と「小」で水道代はいくら違うのか
- なぜ「大」と「小」が分かれているのか
- すべて「小」で流すと何が起きるのか
トイレの「大」と「小」で、水道代はいくら違う?
1回あたり、どれくらいの水が流れているか
一般的な家庭用トイレ(節水型ではない/極端に古くないもの)では、1回に流れる水の量は次の程度とされています。
- 大:約8〜10リットル
- 小:約4〜6リットル
このため、「大」と「小」では、1回あたり約4リットル前後の差があります。
水道代は地域差がありますが、全国平均では
1リットルあたり約0.2〜0.25円が目安とされています。
この水量を金額に換算すると、以下のようになります。
- 「大」(約10リットル):約2〜2.5円
- 「小」(約5リットル):約1〜1.3円
その結果、
1回あたりの差額は約1円前後です。
金額の違い(1か月あたり)
ここでは、
- 「大」と「小」を使い分けた場合
- すべて「小」で流した場合
の水道代を比べます。
前提として、
1人が1日にトイレを6回使用し、
通常は「大」1回、「小」5回という使い方をするケースを想定します。
①「大」と「小」を使い分けた場合
- 「大」1回:約10リットル
- 「小」5回:約5リットル × 5回
この場合、1日に流れる水の量は合計約35リットルになり、
1日あたりの水道代は約7〜9円です。
②すべて「小」で流した場合
- 「小」6回:約5リットル × 6回
この場合、1日に流れる水の量は合計約30リットルになり、
1日あたりは約6〜8円です。
つまり、「大」を「小」に置き換えても、
1日あたりの差は約1円前後=1ヶ月で30円前後
にしかなりません。
仮にこれを「4人家族の場合」としても、
- 1か月あたり:約120円前後
- 1年あたり:約1,000〜1,500円程度
です。
なお、節水トイレの場合は1回あたりの水量自体がさらに少ないため、
ここで示した金額よりもさらに小さくなる傾向があります。
※節水トイレについては、後ほどオマケでご紹介します
水道代を節約するために、全部「小」で流してもいい?
とはいえ、金額としてはわずかでも、
すべて「小」で流した方が水道代は安くなるのは事実です。
ただ、やはり結論から言うと、
水洗トイレの仕組みを踏まえた場合、おすすめはできません。
水洗トイレは、どういう前提で作られているか
水洗トイレは、単に水を流している設備ではありません。
便器内の汚物を
- 一定量の水で一気に押し流し
- 排水管の奥まで運ぶ
という前提で設計されています。
このため、水洗トイレでは
**「水の量」と「流れる勢い」**が重要な要素になります。
「大」と「小」が分かれている理由
トイレのレバーやボタンにある「大」と「小」は、
見た目だけの違いではありません。
- 流れる水の量
- 水が流れる時間
が、それぞれ異なるように設定されています。
役割は次の通りです。
- 「大」:固形物やトイレットペーパーを「排水管の奥まで流すための水量」
- 「小」:主に尿だけを想定した「最低限の水量」
そのため、「大」と「小」は
用途を前提に使い分ける設計になっています。
全部「小」で流すと起こりやすいトラブル
固形物やトイレットペーパーを
「小」の水量で流し続けた場合、
詰まりやすくなる可能性が高くなります。
主な理由は次の通りです。
- 水量が不足しやすい
- 排水管の途中で汚物が止まりやすい
- トイレットペーパーが残りやすい
特に多いのは、次のような経過です。
- すぐには詰まらない
- 少しずつ汚れが蓄積する
- ある日突然、流れが悪くなる
このようなケースでは、
異変に気づいた時点で状況が進行していることも少なくありません。
また、詰まりが発生すると、
- ラバーカップ(いわゆるスッポン)の購入
- 専門業者への依頼
- 数千円から1万円以上の出費
につながることがあります。
その場合、
水道代で節約できた金額は、簡単に上回ってしまいます。
- 水洗トイレは「水量を前提」に設計されています
- 「小」は尿専用の最低水量です
- 固形物を「小」で流し続けると、詰まりのリスクが高まります
- 節約目的で常に「小」を使うと、結果的に出費が増える可能性があります
(オマケ)節水トイレの解説
節水トイレとは
節水トイレとは、1回に流す水の量を、従来より大幅に減らしたトイレのことです。
昔の一般的なトイレでは、
- 1回あたり約13〜20リットル
の水を流すものが多く使われていました。
一方、現在の節水トイレでは、
- 「大」:約4〜6リットル
- 「小」:約3〜4リットル
が一般的です。
そのため、
1回あたりの水量は、昔の半分以下になっています。
昔のトイレと、今のトイレは何が違う?
昔のトイレは、
水の量と勢いで押し流す設計が中心でした。
- 大量の水を一気に流す
- 水量そのものが洗浄力の役割を担う
という、比較的シンプルな構造です。
その結果、
- 水の使用量は多い
- 仕組みは単純
という特徴がありました。
一方、現在の節水トイレは、
水の量を減らす前提で設計そのものが見直されています。
水が少なくても流れる仕組み
現在の節水トイレでは、主に次の点が改良されています。
①水の流れ方の工夫
- 水をただ下に落とすのではなく
- 便器のフチ全体から流す
- 渦を巻くような流れで汚れを巻き込む
これにより、
少ない水でも洗浄力を確保しています。
②排水路の形状の改良
- 便器内部から配管までの形状を最適化
- 汚物が引っかかりにくい構造
- 少ない水でも奥まで運べる設計
結果として、
詰まりにくい前提の構造になっています。
③汚れが付きにくい素材・加工
最近のトイレでは、
- 表面がなめらか
- 汚れが付着しにくい
- 水が少なくても洗い流しやすい
といった素材や加工が使われています。
これは、
流す前から汚れが残りにくい状態を作る工夫です。
「節水=性能が落ちた」ではない
節水トイレは、
単純に水の量を減らしただけではありません。
- 水の流し方
- 便器や排水路の形状
- 素材や表面加工
これらを改良した結果、
少ない水量でも問題なく使えるように進化しています。
そのため、
節水トイレは「性能が落ちたトイレ」ではなく、
使い方を前提に最適化されたトイレといえます。
まとめ
トイレの「大」と「小」では、流れる水の量が異なるため、水道代にも差はあります。
ただし、その差は1回あたりで見ると誤差に近い金額です。
「すべて『小』で流せば節約になるのでは」と考えることもありますが、
水洗トイレは水量を前提に設計されており、
使い方によっては詰まりなどのトラブルにつながる可能性があります。
水道代を少し抑えるつもりが、
修理費用や業者対応でかえって出費が増えてしまっては意味がありません。
無理に節約を意識するよりも、
トイレの設計どおりに使い、結果的に損をしないことが大切といえます。
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