『引越れんらく帳』というサービスは、引越しの際に必要になる電気・ガス・インターネットなどの手続きをまとめて申請でき、複数の会社に個別で連絡する手間を減らせる点が特徴です。
けれど実際に使ってみたら、引越し先の水道事業者の欄が「この手続はしない」となっており、選べなくなっていました。
調べてみると、これは引越し先の水道事業者、つまり自治体が『引越れんらく帳』に対応していないことが原因でした。さらに言うならば、このような自治体は決して少なくないようです。
これはいったいなぜでしょうか?
そもそも電気やガスは広いエリアをひとつの事業者で管理しているのに、どうして水道だけ各自治体が個別に管理しているのでしょう?
今回はそうした疑問を解決すべく、その理由を解説していきます。
- 引越れんらく帳で水道の手続きができない理由
- なぜ電気やガスと比べて、水道だけ仕組みが異なるのか
引越れんらく帳で水道の手続きができない理由
引越れんらく帳で水道の手続きができないのは、サービスの不具合などではなく、もともとの仕組みに理由があります。
ポイントは、「水道だけ管理の単位が違う」という点です。
水道は自治体ごとに管理されている
水道は、市区町村ごとに管理されています。
電気やガスのように、広い範囲をひとつの事業者がまとめて管理しているわけではありません。
そのため、水道には全国共通の窓口や仕組みがなく、地域ごとに手続きの方法も異なります。
この「まとまっていない構造」が、外部サービスとの連携を難しくしています。
対応している自治体がまだ限られている
引越れんらく帳は一部の水道事業者には対応していますが、すべてではありません。
実際には、対応していない自治体の方が多い状況です。
日本全国には、水道事業者はおよそ1,300前後存在するとされています。
一方で、下記の公式ページに掲載されている水道事業者は、わずか25件(2026年3月時点)にとどまっています。
引越れんらく帳『手続きできる事業者を探す』
https://www.hikkoshi-line.com/contents/mh_jigyousha.html
この差からも分かる通り、水道の連携はまだごく一部に限られています。
これはサービスの不備というよりも、水道が自治体ごとに分かれているため、連携の範囲が広がりにくいことが原因です。
その結果、引越し先によっては水道だけ手続きできない、という差が生まれます。
なぜ水道だけ自治体管理なのか
法律上、水道は自治体が担う仕組みになっている
水道は、法律によって「国や自治体が整備すべきもの」と位置づけられています。
例えば、水道法 第2条(責務)では、次のように定められています。
国及び地方公共団体は、水道の整備及び普及に努めなければならない。
この条文から、水道が単なるサービスではなく、生活に不可欠な公共インフラであることが分かります。
そのため、利益を目的とした民間事業ではなく、自治体が主体となって管理する形が基本になっています。
また、水道法 第6条(事業の認可)では、次のように定められています。
水道事業を経営しようとする者は、厚生労働大臣又は都道府県知事の認可を受けなければならない。
このように、水道事業は自由に参入できるものではなく、行政の管理のもとで行われます。
結果として、水道は地域ごとに自治体が担う構造になっています。
一方で、電気やガスにもそれぞれ法律はありますが、これらは民間の事業者が供給することを前提とした仕組みになっています。
そのため、国はルールを定めて監督する立場にとどまり、実際の運営は事業者が担う構造になっています。
地域ごとに管理する方が合理的なインフラだから
水道は、電気やガスとは違い、地域ごとに管理する方が合理的なインフラです。
その理由は、水の供給が地域の条件に大きく左右されるためです。
- 水源が地域ごとに異なる(川・ダム・地下水など)
- 配管や設備がその地域専用に整備されている
- 地形や人口によって維持コストが変わる
さらに、水は重く、大量に使うため、遠くまで運ぶとコストが大きくなります。
このため、「地元で確保して地元で使う」形が基本になります。
一方で、電気やガスは広い範囲でまとめて供給する方が効率的です。
送電線やガス管によって遠くまで届けることができるため、事業者が広域で管理する仕組みになっています。
この違いにより、
- 電気・ガス:広域で一括管理
- 水道:地域ごとに個別管理
という構造が生まれています。
結果として、水道は自治体ごとに分かれた仕組みとなり、外部サービスとの連携も難しくなっています。
まとめ
引越れんらく帳で水道の手続きができないのは、サービスの不具合ではなく、水道の仕組みによるものです。
電気やガスのようにまとめて管理できる仕組みとは異なり、水道は自治体ごとに管理されており、全国で統一された形になっていません。
そしてこのような理由から、水道の手続きは引越れんらく帳だけで完結しないことが多くなっています。結局のところ各自治体の水道局に対して個別に手続きを行う必要があり、多くの場合は電話または自治体のWebサイトから申請する形になります。
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