近年、住宅政策や自治体の取り組みに関するニュースの中で、
「アフォーダブル住宅」という言葉が使われるようになっています。
特に東京都では小池都知事が先日、「来年度からの6年間で新たに1200戸のアフォーダブル住宅を供給する」という方針を明らかにし、「相場の8割ほどの家賃で、最大12年間まで入居が可能になる予定」であるとも触れられ、今後の展開に期待されています。
しかし、この言葉について調べてみると、
- 明確な制度名として定義されていない
- 特定の住宅タイプを指す名称ではない
- 自治体ごとに意味や使われ方が異なる
といった特徴があり、内容が分かりにくいのが実情です。
そのためこの記事では、次の点を中心に整理します。
- アフォーダブル住宅とは、いったい何なのか
- どのような人が対象となるのか
- 他の住宅施策とどのように位置づけが異なるのか
なお、アフォーダブル住宅は、
現時点で全国共通の入居制度や募集住宅が整備されているものではありません。
本記事は、
家賃負担を抑える住宅政策の流れを整理するための
概要解説を目的としたWeb記事です。
まずは、
アフォーダブル住宅がどのような考え方なのかを確認します。
アフォーダブル住宅とは?
「アフォーダブル住宅」は正式な住宅名ではない
アフォーダブル住宅とは、
特定の住宅名や、全国共通の制度名ではありません。
一般に使われている意味は、
民間の力も活用しながら、家賃を無理なく払える水準に抑えた住宅の総称です。
そのため、
- 「この建物がアフォーダブル住宅です」と全国共通で言えるものは存在しない
- 一つの制度・一つの物件タイプを指す言葉ではない
という特徴があります。
家賃が無理になりにくい住宅を増やそう、という考え方
アフォーダブル住宅は、
「安い住宅を一律に提供する制度」ではありません。
具体的には、次のような手法が組み合わされます。
- 家賃そのものを相場より低く設定する
- 家賃補助を組み合わせて、実質負担を下げる
- 事業者に補助金や税制優遇を行い、その分家賃を抑える
つまり、
結果として住む人の家賃負担が軽くなる仕組みの集合体です。
そのため、
- 激安物件
- 公営住宅の代替
というよりも、
相場家賃では厳しい人でも住み続けられる水準に調整された住宅
と考える方が実態に近くなります。
国の方針をもとに、自治体ごとに形が違う
アフォーダブル住宅の出発点は、
国土交通省 が示している
「家賃負担が重くなりすぎない住宅を増やすべき」という政策方針です。
ただし、重要な点として、
- 国が「アフォーダブル住宅」という制度を作ったわけではない
- 具体的な仕組みや名称は、自治体ごとに任されている
という前提があります。
その結果、
- ある自治体では制度がある
- 隣の自治体ではほぼ何もない
- 「アフォーダブル住宅」という名前自体を使っていない
といった違いが普通に起こります。
実際には、
- 子育て世帯向け住宅
- 若者定住支援住宅
- 官民連携住宅
といった別の名称で提供されていても、
中身はアフォーダブル住宅と同じ考え方というケースもあります。
- アフォーダブル住宅は、特定の住宅名や全国共通制度ではない
- 「家賃を無理なく払える住宅を増やす」という考え方の総称
- 国が方向性を示し、実際の中身は自治体ごとに異なる
どんな人が想定されているの?入居条件は?
公営住宅ほど条件は厳しくない
まず前提として、
アフォーダブル住宅には「全国共通の制度として入居条件」が定められているわけではありません。
実際には、
- 事業ごと
- 自治体ごと
に、対象となる世帯像が設定される形になります。
この点で、
全国一律の基準が設けられている公営住宅とは仕組みが異なります。
「低所得者」向けではなく、「中間層」を意識した考え方
アフォーダブル住宅は、
いわゆる低所得者向け住宅として制度化されたものではありません。
たとえば東京都では、
アフォーダブル住宅の取り組みについて、
- 子育て世帯など
- 家賃負担が重くなりやすい世帯
を念頭に置いた住宅供給を進める方針が示されています。
これは、
- 生活に困窮している層のみを対象とする
- 公営住宅の代替とする
という位置づけではないことを意味します。
「家賃は払えるが、相場では負担が重い」層を想定
アフォーダブル住宅の考え方は、
- 家賃を全く払えない人向けの住宅
- 福祉目的の住宅
ではなく、
- 家賃の支払い自体は可能
- ただし、民間賃貸の相場では負担が大きい
といった層を想定したものです。
そのため、
生活困窮者限定の住宅ではない
という点が、公営住宅との大きな違いになります。
逆に考えると、
公営住宅の入居条件に該当しない人でもチャンスがある という点において、
より多くの人にとって期待を持てるものであるかもしれません。
「安い」ってどれくらい?どの程度期待していい?
東京都では「相場の2割安前後」が目安
現時点で示されている情報では、
東京都 のアフォーダブル住宅の考え方として、
- 周辺の家賃相場よりおおむね2割前後低い水準
を意識する方向性が示されています。
仮に数値に当てはめると、
- 相場8万円 → 約6万〜6.5万円
- 相場10万円 → 約8万円前後
といったイメージになります。
ただし、
- 半額になるような水準ではない
- 現時点では、具体的な物件や家賃は確定していない
という点には注意が必要です。
アフォーダブル住宅に興味を持った人が、あわせて知っておきたい選択肢
アフォーダブル住宅は、現時点では
全国共通の制度や募集住宅が整備されているわけではありません。
ただし、
考え方が近く、すでに利用できる選択肢はいくつか存在します。
ここでは、代表的なものを2つだけ紹介します。
UR賃貸住宅
「UR都市機構(正式名称:独立行政法人 都市再生機構)」が運営する、
国の住宅政策に基づく公的な賃貸住宅です。
(テレビやネットで流れてる「お部屋探しはURであーる♪」でおなじみ)
- 国土交通省所管の独立行政法人が運営
- 礼金・仲介手数料・更新料が不要
- 家賃は相場並みだが、初期費用の負担が小さい
家賃そのものを大きく下げる制度ではありませんが、
初期費用のハードルを下げる仕組みとして位置づけられています。
公式サイト(UR賃貸住宅):
https://www.ur-net.go.jp/chintai/
セーフティネット住宅
「住宅セーフティネット法」に基づいて作られた制度で、
正式名称は「住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅」です。
- 制度を所管しているのは 国土交通省
- 実際の住宅は民間の賃貸住宅
- 国や自治体が、登録や支援を通じて受け入れを後押し
家賃が必ず安くなるわけではありませんが、
民間賃貸で入居を断られやすい人の受け皿として機能しています。
制度概要(国土交通省):
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000055.html
物件検索サイト(セーフティネット住宅情報提供システム):
https://safetynet-jutaku.mlit.go.jp/guest/index.php
まとめ
今すぐ住める制度ではないけど、知っておく意味はある
アフォーダブル住宅は、
現時点で全国共通の制度として整備されてはおらず、
誰でもすぐに申し込める住宅ではありません。
東京都においても、
具体的な物件供給はこれからの段階にあります。
一方で、
- 家賃負担が重くなりすぎない住宅を増やす
- 公営住宅と民間賃貸の間を補う選択肢を用意する
という方向性自体は、
住宅政策として明確に示されています。
そのため、
今すぐ使える制度として期待するものではなく、
将来、住まいに悩んだときの選択肢の一つとして知っておく情報
と位置づけるのが適切です。
家賃が大きな負担になりやすい状況は、
今後も続く可能性があります。
アフォーダブル住宅という考え方を知っておくことは、
そのときに選択肢を狭めないための、
事前の整理として意味があるでしょう。
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