【最大9か月】自治体が家賃を肩代わり?生活保護・公営住宅を申請する前に知っておきたい支援制度|住居確保給付金

アイキャッチ画像(記事5) 補助金・支援制度

生活費に余裕がなくなると、家賃の支払いが負担になるケースがあります。
そのような状況に対し、自治体が一定期間、家賃相当額を支援する制度があります。

それが 住居確保給付金 です。

住居確保給付金は、生活費全体を補助する制度ではなく、家賃に特化した支援制度です。
生活保護や公営住宅とは別の制度として位置づけられており、対象条件や支給内容があらかじめ定められています。

この記事では、住居確保給付金について、次の点を整理します。

  • どのような人が対象になるのか
  • いくら・どれくらいの期間、支援を受けられるのか
  • 申請の流れと、事前に確認しておきたい注意点
  1. 住居確保給付金とは?
    1. 制度の概要
    2. 生活保護や公営住宅との違い
  2. どんな人が対象になる?使えるかどうかの目安
    1. 支給対象者の基本的な条件
    2. 収入以外に見られるポイント(貯金・住まい・状況)
      1. 収入について
      2. 貯金(資産)について
      3. 住まいについて
      4. 今後の状況・意思について
    3. 【チェック表】自分も対象になりそうか簡単に確認
      1. 住居確保給付金・対象チェック(簡易)
  3. いくら・どれくらいの期間、家賃を支援してもらえる?
    1. 支給額の考え方(全国共通/自治体差)
    2. 支給期間はどれくらい?延長はある?
    3. 【具体例】都会と地方ではいくら違う?
      1. 東京都新宿区(23区内の例)
      2. 秋田県秋田市(地方都市の例)
      3. 都会と地方の差の目安
  4. 申請の流れと、実際の手続き感
    1. どこに相談・申請すればいいのか
    2. 申請の基本的な流れ
    3. 申請に必要なもの一覧
    4. 申請から支給までの期間の目安
    5. 正直、手続きはどれくらい大変?
  5. (おまけ)最大9か月たっても生活が立て直らなかったら?
    1. 支給期間終了後はどうなるのか
    2. 次に案内される可能性のある支援
      1. 生活保護(最後のセーフティネット)
      2. 就労支援・自立支援の継続
      3. 家賃負担を下げる方向での調整(ケースによる)
    3. 「ここで終わり」にはならない理由
  6. まとめ
    1. 住居確保給付金は「生活に困っている人が知っておきたい現実的な選択肢」

住居確保給付金とは?

制度の概要

住居確保給付金は、家賃を払えなくなるおそれがある人に対し、一定期間、家賃相当額を支援する制度です。
生活全体を支援する制度ではなく、家賃に限定した支援である点が特徴です。

この制度のポイントは、次の3点です。

  • 生活費の支援ではない
    食費や光熱費などに使えるお金は支給されません。
    支援の対象は、あくまで家賃のみです。
  • 住居を失うことを防ぐための制度
    失業や収入減などにより、
    「このままでは家賃が払えなくなる」という段階で利用されます。
  • 支給は原則、大家や管理会社に直接行われる
    申請者の口座に現金が振り込まれる制度ではありません。

ひとことで表すと、
**「家を追い出されないための、期限付きの家賃サポート制度」**です。

生活保護や公営住宅との違い

住居確保給付金について、次のような誤解が見られますが、いずれも正確ではありません。

  • 生活保護と同じ制度ではありません
  • 何にでも使える給付金ではありません
  • 働いている人が使えない制度ではありません(条件次第で対象になります)

制度の立ち位置を簡単に整理すると、次のようになります。

  • 生活保護より前の段階
  • 生活が完全に行き詰まる一歩手前
  • まだ立て直しが可能な人向けの制度

この制度は、厚生労働省 が、
「住居を失うことで生活全体が急激に崩れる状況」を防ぐ目的で設けています。

どんな人が対象になる?使えるかどうかの目安

支給対象者の基本的な条件

住居確保給付金は、
**「すでに生活が破綻している人」ではなく、
「このままだと家賃が払えなくなるおそれがある人」**を対象とした制度です。

言い換えると、
完全に行き詰まった後ではなく、行き詰まる一歩手前の段階で使われる制度です。

支給対象となるかどうかは、主に次の4点で判断されます。

  • 収入が一定以下であること
  • 貯金(資産)が多すぎないこと
  • 賃貸住宅に住み、家賃の支払いが発生していること
  • 仕事や収入を立て直す意思があること

収入以外に見られるポイント(貯金・住まい・状況)

収入について

収入の目安は、その地域の生活保護基準に近い水準です。
ただし、生活保護と同じ水準まで下がっている必要はありません。

収入基準は、次の条件によって変わります。

  • 住んでいる地域
  • 世帯人数

失業していなければ対象にならない、ということはありません。

  • 失業中の場合は、対象になりやすい
  • 収入が大きく減った場合
    (派遣切り、シフト減、フリーランスの案件減など)
    対象になる可能性があります

貯金(資産)について

貯金があること自体で、即対象外になるわけではありません。

判断の目安は、
**「生活費を数か月まかなえる程度を大きく超えていないか」**です。

  • 数十万円程度の貯金がある → 直ちに対象外にはならない
  • 明らかに生活に余裕がある → 対象外となる可能性が高い

住まいについて

この制度は、家賃の支援を目的とした制度です。

そのため、次の点が前提となります。

  • 賃貸住宅に住んでいること
  • 実際に家賃を支払っている、または支払う予定があること

持ち家の場合や、実家暮らしで家賃が発生していない場合は、原則として対象になりません。

今後の状況・意思について

住居確保給付金は、受給中に何もしなくてよい制度ではありません。

原則として、次のような行動が求められます。

  • 求職活動
  • 収入回復に向けた行動

ただし、「今すぐ正社員として働くこと」を求められるわけではありません。
体調や個別の事情は考慮されます。

【チェック表】自分も対象になりそうか簡単に確認

※あくまで目安です。
※最終的な判断は自治体が行いますが、「相談に行く価値があるか」の判断材料になります。

住居確保給付金・対象チェック(簡易)

  • チェックが多い場合
    一度、自治体に相談する価値は高いと考えられます。
  • 半分程度当てはまる場合
    自治体の判断次第ですが、相談が無駄になる可能性は低いです。
  • ほとんど当てはまらない場合
    今回は対象外となる可能性が高いです。
家賃について
□ 賃貸住宅に住んでいる
□ 毎月、家賃の支払いが発生している
□ このままだと、家賃の支払いが厳しくなりそう

「すべて当てはまる場合」は、次へ進んでください。

収入について
□ 失業した、または収入が大きく減った
□ 正社員以外(派遣・アルバイト・フリーランス)で働いている
□ 今の収入では、家賃と生活費の両立が難しい

「1つでも」当てはまれば、対象となる可能性があります。

貯金(資産)について
□ 貯金はあるが、長期間生活できるほどではない
□ 家賃を払い続けると、数か月で厳しくなりそう

※貯金がゼロである必要はありません。

今後の意思について
□ 仕事を探す、または収入を戻すつもりがある
□ ハローワークや支援機関の利用に抵抗がない
□ 何もしないまま給付だけを受けたいわけではない

この意思は、ほぼ必須と考えられます。

いくら・どれくらいの期間、家賃を支援してもらえる?

支給額の考え方(全国共通/自治体差)

住居確保給付金の支給額は、全国一律ではありません
ただし、制度の考え方(ルールの枠組み)は全国共通です。

支給額の基本的な考え方は、次のとおりです。

  • 今住んでいる地域で、生活保護を利用した場合の「家賃の上限額」まで
  • この上限額が、そのまま住居確保給付金の支給上限になります

つまり、支給額は次のように決まります。

  • 実際の家賃が上限額以下の場合
    原則として、家賃相当額が支給対象になります
  • 実際の家賃が上限額を超える場合
    上限額までが支給対象となり、超えた分は自己負担になります

例として、次のようなケースがあります。

  • 上限額:53,700円
  • 実際の家賃:60,000円
    → 支給されるのは 53,700円まで

この上限額は、

  • 市区町村
  • 世帯人数

によって異なります。

なお、上限額の設定は、
厚生労働省 が定めた基準をもとに、
各市区町村が地域の家賃水準や世帯構成を反映して決めています。

支給期間はどれくらい?延長はある?

支給期間は、原則として3か月です。

ただし、条件を満たす場合は「最大で9か月まで」延長が認められます。

延長が認められるかどうかは、次の点が確認されます。

  • 求職活動を行っているか
  • 収入回復に向けた行動を取っているか

延長は自動ではなく、状況確認のうえで判断されます。

この制度は、長期間にわたって家賃を支援し続けるものではなく、
生活を立て直すための猶予期間を設ける制度です。

【具体例】都会と地方ではいくら違う?

支給上限額は、地域によって大きく異なります。
ここでは、東京都新宿区と秋田県秋田市を例に、違いを整理します。

東京都新宿区(23区内の例)

住宅扶助基準額をもとにした、月額の支給上限の目安は次のとおりです。

世帯構成支給上限(月額)
単身世帯53,700円
2人世帯64,000円
3人以上世帯69,800円

  • 1人暮らしで家賃が60,000円の場合
    上限である 53,700円までが支給対象になります。

実際の支給額は、収入や資産の状況によって調整される場合があります。

(参考:新宿区役所HP「住居確保給付金の支給について」)https://www.city.shinjuku.lg.jp/fukushi/fukushi01_002056_00002.html

秋田県秋田市(地方都市の例)

秋田市における支給上限の目安は、次のとおりです。

世帯構成支給上限(月額)
単身世帯32,000円
2人世帯38,000円
3〜5人世帯42,000円
6人世帯45,000円
7人以上50,000円

  • 単身世帯であれば、上限は 32,000円
  • 2人世帯であれば、上限は 38,000円

(参考:秋田市HP「住居確保給付金支給事業」)https://www.city.akita.lg.jp/kurashi/okomarinokata/1006020/1025008.html

都会と地方の差の目安

世帯構成新宿区秋田市
単身世帯約53,700円約32,000円
2人世帯約64,000円約38,000円
3人以上約69,800円約42,000円〜

このように、
都市部と地方では、1.5〜2倍近い差が出ることがあります。

これは、地域ごとの家賃水準の違いを反映した設計です。

申請の流れと、実際の手続き感

どこに相談・申請すればいいのか

住居確保給付金の申請は、ハローワークではありません
最初の窓口は、市区町村の福祉系の窓口です。

自治体によって名称は異なりますが、主に次のいずれかになります。

  • 生活支援課
  • 生活福祉課
  • 自立相談支援機関
  • 自立支援窓口
  • くらし・仕事相談窓口

窓口では、
**「住居確保給付金について相談したい」**と伝えれば対応してもらえます。

制度自体は 厚生労働省 の仕組みですが、
実際の相談・申請・審査はすべて市区町村が行います。

申請の基本的な流れ

住居確保給付金は、いきなり申請書だけを提出する制度ではありません
基本的な流れは次のとおりです。

  1. 窓口で相談
    • 収入、家賃、仕事の状況などを確認されます
    • 対象になりそうかを、その場で大まかに判断されます
  2. 必要書類の案内
    • 申請できそうな場合、必要な書類の説明があります
    • その場で渡される場合もあれば、後日持参する場合もあります
  3. 申請書の提出
    • 書類がそろった段階で、正式な申請となります

申請に必要なもの一覧

必要書類は自治体によって多少異なりますが、共通するものは次のとおりです。

ほぼ必須となるもの
  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • 賃貸借契約書(家賃が確認できるもの)
  • 家賃の支払い状況が分かる資料(銀行通帳のコピーや、家賃の領収書など)
  • 収入が分かる書類
    • 給与明細
    • 失業中の場合は、直近の収入が分かるもの
  • 預貯金の状況が分かるもの(通帳など)
状況によって求められるもの
  • 離職票や退職証明書
  • 求職状況の申告書

書類が一部そろっていない場合でも、
その場で申請不可になるというより、後日提出を前提に進むケースが多いのが実情です。

申請から支給までの期間の目安

申請後は、自治体による審査が行われます。

  • 審査期間の目安:2週間〜1か月程度
  • 混雑状況により、前後する場合があります

支給が決定した場合、
家賃は原則として大家や管理会社に直接支払われます

毎月自動的に支給されるのではなく、
状況確認を行いながら支給が続く形になります。

正直、手続きはどれくらい大変?

住居確保給付金の手続きは、次のような位置づけです。

  • ワンタップで完結する制度ではありません
  • ただし、生活保護よりは手続きが軽い傾向があります
  • 窓口の担当者と相談しながら進める前提の制度です

書類の準備は必要ですが、
すべてを一人で抱え込む形ではなく、相談型の制度と考えられます。

申請に関する流れのまとめ
  1. 市区町村の福祉系窓口へ相談
  2. 対象になりそうかの確認
  3. 必要書類をそろえて申請
  4. 審査(2週間〜1か月程度)
  5. 家賃が大家や管理会社に支給される

(おまけ)最大9か月たっても生活が立て直らなかったら?

支給期間終了後はどうなるのか

住居確保給付金は、最大9か月で支給が終了する期限付きの制度です。
支給期間が終わった時点で、生活が立て直せていない場合でも、
そこで支援が打ち切られ、放り出されるわけではありません

この制度は、次のような段階設計で運用されています。

  • 住居確保給付金で立て直せる場合は、ここで支援終了
  • それでも生活が成り立たない場合は、次の支援へ切り替え

次に案内される可能性のある支援

支給期間終了後に、状況に応じて案内される可能性がある支援は、主に次のとおりです。

生活保護(最後のセーフティネット)

現実的な選択肢として、生活保護の説明を受けるケースがあります。

生活保護では、次のような支援が対象になります。

  • 家賃
  • 生活費
  • 医療費
  • 光熱費

「働けない」「仕事が見つからない」といった事情は、個別に考慮されます。

なお、
住居確保給付金を利用したからといって、自動的に生活保護に切り替わるわけではありません
必要な場合に、制度の説明が行われるという位置づけです。

就労支援・自立支援の継続

すでに相談を行っている場合、次のような支援が継続されることがあります。

  • 自立相談支援機関による継続支援
  • 就労準備支援(すぐに就職が難しい人向け)
  • 職業訓練や就労移行的な支援

フルタイムでの就職が難しい場合でも、
段階的に生活を立て直すための支援が検討されます。

家賃負担を下げる方向での調整(ケースによる)

自治体や状況によっては、次のような相談が行われることもあります。

  • 家賃の安い物件への住み替え相談
  • 公的住宅の案内(空き状況次第)

これらは地域差が大きく、
必ず案内されるものではありません

「ここで終わり」にはならない理由

日本の公的支援制度は、
一度の制度で解決しなければ終了、という設計ではありません

基本的な考え方は、次のとおりです。

  • 自立できる可能性がある段階では、軽い支援
  • それでも難しい場合は、支援の内容を段階的に切り替える

この考え方は、厚生労働省 が所管する制度全体に共通しています。

なお、よくある誤解として、
「住居確保給付金を使い切ったら、生活保護が通りやすくなる」という考えがありますが、
制度上、そのような加点や優遇はありません

  • 点数制度はありません
  • 実績による優遇もありません
  • 「9か月使ったから認定される」という仕組みではありません

生活保護の判断基準は、
あくまで申請時点の生活状況です。

ただし・・・

住居確保給付金を利用した場合、次の点が事実として整理されています。

  • 収入状況
  • 資産状況
  • 家賃の状況
  • 就労状況
  • 求職活動の履歴

これらが時系列で把握されているため、
生活保護で時間がかかりやすい実態確認が、すでに進んでいる状態になります。

また、

  • 家賃支援を受け
  • 求職活動を行い
  • それでも生活が改善しなかった

という経過が、
主観ではなく、制度上確認された事実として説明できる点も特徴です。

住居確保給付金と生活保護は、
多くの自治体で同じ課、または近い窓口で扱われており、
別物として切り離されているというより、段階的に見られている支援と考えられます。

そういう意味では・・・

住居確保給付金を利用したこと自体が、
生活保護の申請通過を有利にするわけではありませんが、
「支援を受けても生活が成り立たなかった」という経過が明確になることで、
次の支援を検討する段階に進みやすくなることはあるかも。

まとめ

住居確保給付金は「生活に困っている人が知っておきたい現実的な選択肢」

住居確保給付金は、家賃に特化した期限付きの支援制度です。
生活費全体を補助するものではなく、家賃の支払いを一定期間支えることで、生活が大きく崩れるのを防ぐ目的で設けられています。

この制度は、生活が完全に立ち行かなくなった後に使うものではありません。
「このままだと家賃が厳しくなる」段階で利用することを想定しています

支給額や期間、対象条件はあらかじめ決められており、
誰でも無条件に使える制度ではありません。
一方で、条件に当てはまる場合は、家賃負担を一時的に軽減できる可能性があります。

住居確保給付金は、
知っているかどうかで、生活において取り得る選択肢が変わる制度です。
利用するかどうかは別として、状況に応じて判断できるよう、
制度の内容を把握しておくことには意味があります。

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